SOHO物件とは?事務所利用との違いや契約前に知るべき注意点を解説

2026年1月24日

フリーランスとしての独立や起業を考えたとき、最初の課題となるのが「活動拠点をどこにするか」という問題です。自宅では集中できない、かといって専用のオフィスを借りるには資金が足りない、といった悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。賃貸情報サイトなどで見かける「SOHO可」という物件は、まさにそのような悩みを持つ方に適した選択肢の一つです。しかし、一般的な賃貸物件やオフィス物件と具体的に何が違うのか、契約上のルールはどうなっているのかを正しく理解している人は意外と多くありません。この記事では、SOHO物件の定義からメリット・デメリット、選び方のポイントまでを詳しく解説します。読み終える頃には、ご自身のビジネススタイルにSOHO物件が適しているかどうかを明確に判断できるようになります。

SOHO物件とはどのような物件なのか?

SOHO(ソーホー)とは「Small Office Home Office」の略称であり、小さなオフィスや自宅を仕事場とする働き方を指す言葉です。不動産業界における「SOHO物件」とは、この働き方を実現するための「業務利用が認められた居住用物件」のことを指します。一見すると普通のマンションやアパートと変わりませんが、契約内容や利用ルールにおいて明確な特徴があります。ここでは、SOHO物件の基本的な定義と、よく混同される事務所契約との違いについて解説します。

居住用の契約で仕事ができる物件を指す

SOHO物件の最大の特徴は、契約形態があくまで「住居契約(居住用)」であるという点です。一般的な賃貸マンションは、契約書で「居住のみを目的とする」と定められており、無断で事業を行うことは契約違反となります。しかし、SOHO可の物件であれば、住居として生活しながら、その一室を仕事場として堂々と利用することが認められています。

この形態は、デザイナー、ライター、プログラマーといったIT関連のフリーランスや、在庫を持たないネットショップ運営者など、比較的小規模で静かな事業を行う個人事業主に適しています。物件の作りは一般的なマンションと同じで、キッチンや浴室があり、生活するための設備が整っています。つまり、SOHO物件とは「住むこと」を主目的としつつ、「働くこと」も許可されたハイブリッドな物件だと言えます。

事務所契約とは消費税や初期費用が異なる

「事務所利用可(事務所契約)」の物件とSOHO物件は、似ているようで契約の内容やコスト構造が大きく異なります。最も大きな違いは消費税の扱いです。SOHO物件は住居契約であるため、毎月の家賃には消費税がかかりません。一方で、事務所契約の場合は事業用とみなされるため、家賃に消費税が課税されます。

また、契約時の初期費用にも差があります。事務所契約では、保証金として家賃の6ヶ月〜10ヶ月分程度を求められることが一般的ですが、SOHO物件であれば住居と同じく敷金・礼金それぞれ1〜2ヶ月分程度で済むケースがほとんどです。以下の表で、SOHO物件と事務所契約の主な違いを整理しましたので確認してみてください。

比較項目SOHO物件(住居契約)事務所契約(事業用)
消費税非課税課税
初期費用敷金・礼金(各1〜2ヶ月分程度)保証金(6〜10ヶ月分程度)
利用目的住居兼仕事場事業専用
寝泊まり可能(生活拠点として利用)原則不可(住居機能がない場合も)
法人登記原則不可(オーナー許可があれば可)可能
表札・看板不可(集合ポストに屋号併記程度)可能(ビル入口などに掲示可)

このように、SOHO物件は事務所契約に比べてコスト面でのメリットが大きい反面、利用できる範囲や権限には制限があります。この違いを理解した上で、どちらが自分の事業に適しているかを検討することが大切です。

参考:国税庁「No.6226住宅の貸付け」

参考:国税庁「No.6225地代、家賃や権利金、敷金など」

SOHO物件を選ぶメリットは何があるのか?

SOHO物件を利用することには、金銭面や生活面で多くのメリットがあります。特に創業期で資金に余裕がない個人事業主や、ライフスタイルを重視したいフリーランスにとっては、非常に合理的な選択肢となります。ここでは、具体的な3つのメリットについて詳しく見ていきます。

オフィス物件よりも初期費用を安く抑えられる

SOHO物件を選ぶ最大のメリットは、入居にかかる初期費用を大幅に削減できることです。前述の通り、一般的なオフィスビルや事務所可物件を借りる場合、保証金(敷金)として家賃の半年から1年分程度のまとまった資金が必要になります。例えば家賃10万円の物件であれば、保証金だけで60万〜100万円近くを用意しなければなりません。

対してSOHO物件は、通常の賃貸マンションと同じ賃貸条件で募集されていることが多いため、敷金・礼金を含めても家賃の4〜5ヶ月分程度で契約できるケースが一般的です。浮いた資金をPCなどの設備投資や広告宣伝費、当面の運転資金に回すことができるため、ビジネスの立ち上げ時期には非常に大きな助けとなります。また、退去時の原状回復費用についても、SOHO物件は住居としてのガイドラインが適用されることが多く、事務所契約のようなスケルトン戻し(内装をすべて撤去してコンクリートむき出しの状態に戻すこと)を求められるリスクが低い点も経済的な安心材料です。

家賃や光熱費を事業経費として計上できる

自宅兼仕事場としてSOHO物件を利用する場合、家賃や光熱費の一部を事業の経費として計上することが可能です。これは「家事按分(かじあんぶん)」と呼ばれる考え方で、事業に使用している床面積や使用時間の割合に応じて、プライベートな支出と事業経費を区分する方法です。

例えば、50平米の部屋のうち20平米を書斎や作業スペースとして専用で使っている場合、家賃の40%を経費として計上できる可能性があります。電気代やインターネット通信費についても同様に、業務での使用割合を合理的に説明できれば経費化できます。通常の住居として借りて無断で仕事をしている場合と異なり、契約上も事業利用が認められているため、税務申告の際にも堂々と事業所として説明しやすいという利点があります。これにより、所得税や住民税の節税効果が期待でき、手元に残る資金を増やすことにつながります。

費目経費計上の考え方(例)備考
電気代コンセント数や使用時間の割合で按分業務でのPC・機器使用が多い場合に有効
通信費業務使用時間や頻度で按分仕事専用回線を引けば全額経費も可能
水道・ガス原則経費化は難しい料理教室など事業で直接使う場合は例外

参考:国税庁「家事関連費(第1号関係)」

24時間の利用や寝泊まりが可能である

SOHO物件はあくまで「生活の拠点」であるため、24時間365日いつでも利用でき、当然ながら寝泊まりも自由です。これは当たり前のことのように思えるかもしれませんが、オフィス専用のビルでは夜間の出入りが制限されていたり、空調が特定の時間で停止してしまったりすることが少なくありません。また、防犯上の理由から宿泊を禁止しているオフィス物件も多く存在します。

開発の納期前で深夜まで作業が続くエンジニアや、海外のクライアントとやり取りをするために時差のある時間帯に働く必要がある人にとって、生活空間と仕事場が一体化しているSOHO物件は非常に効率的です。通勤時間がゼロになるため、起きてすぐに作業を開始でき、疲れたらすぐにベッドで休むことができます。このように、時間にとらわれずに柔軟に働ける環境を確保できる点は、SOHO物件ならではの大きな魅力と言えます。

SOHO物件のデメリットや注意点は?

コスト面や利便性でメリットの多いSOHO物件ですが、一方で契約上の制約や環境面でのデメリットも存在します。これらを知らずに契約してしまうと、後から「事業が拡大できない」「ビジネスの信用が得られない」といったトラブルに直面する可能性があります。ここでは、特に注意すべき3つのポイントを解説します。

原則として法人登記ができないケースが多い

SOHO物件を検討する際、最も注意しなければならないのが「法人登記」の可否です。多くのSOHO物件では、契約書で法人登記を禁止しています。これは、物件のオーナーが「事業用」として貸し出すことによる税務上の手間やリスクを避けたいと考えるためです。事業用として登記を認めると、建物全体の課税関係が複雑になったり、用途地域による制限に抵触したりする恐れがあるからです。

そのため、将来的に法人化(会社設立)を予定している場合や、すでに法人として活動している場合は、契約前に必ず不動産会社へ確認する必要があります。稀に「登記可能」なSOHO物件もありますが、その場合は別途消費税が加算されたり、敷金が積み増しになったりする条件変更を求められることがあります。個人事業主のうちは屋号での活動で問題なくても、法人成りのタイミングで引越しを余儀なくされるケースがあることを覚えておきましょう。

看板の設置や不特定多数の出入りは禁止される

SOHO物件は他の一般入居者と同じ建物内で生活するため、近隣住民への配慮が最優先されます。そのため、エントランスや玄関ドアに会社の看板や表札を掲げることは、原則として認められていません。集合ポストに小さく社名や屋号をテプラ等で併記することだけが許可されるケースが一般的です。

また、不特定多数の人が出入りするような使い方も禁止されています。例えば、生徒が頻繁に出入りする教室業、店舗型のサロン、多くの面接官や求職者が訪れる採用事務所としての利用は、セキュリティや騒音の観点から契約違反となる可能性が高いです。あくまで「執務スペース」としての利用に限定されており、来客対応は最小限に留める必要があります。打ち合わせが必要な場合は、近隣のカフェや貸会議室を利用するなど、工夫が求められます。

制限される行為理由代替案・対策
不特定多数の来客セキュリティ低下、騒音トラブル防止オンライン会議、外部の貸会議室を利用
店舗営業居住用建物としての用途制限店舗可物件(事務所・店舗)を探す
大きな荷物の搬入エレベーター占有、共用部の破損防止配送時間を配慮、事前の許可申請

設備やネット環境が業務向きとは限らない

SOHO物件は元々が住居用として設計されているため、オフィスビルに比べてビジネス向けのインフラが弱いことがあります。特に注意したいのがインターネット回線と電気容量です。マンションタイプの共有回線を使用している場合、夜間や休日など他の住人が動画視聴などで回線を多く使う時間帯に、通信速度が極端に低下することがあります。大容量のデータをやり取りするクリエイターにとっては致命的な問題になりかねません。

また、電気のアンペア数も一般的な家庭用(30A〜50A程度)の上限までしか上げられないことが多く、複数のPC、サーバー、大型モニター、プリンターなどを同時に稼働させるとブレーカーが落ちてしまうリスクがあります。床についても、オフィスのようなOAフロア(配線を床下に隠せる構造)にはなっていないため、配線が部屋中を這うことになりがちです。内見時には、コンセントの位置や数、独自回線の引き込み工事が可能かどうかを必ず確認するようにしましょう。

SOHO物件とオフィス物件のどちらを選ぶべきか?

ここまでSOHO物件の特徴を見てきましたが、「結局、自分はSOHO物件とオフィス物件のどちらにすべきか」と迷う方もいるでしょう。判断の基準は、現在の事業規模だけでなく、将来の展望や具体的な業務フローにあります。それぞれの物件タイプに適している人の特徴を整理します。

検討項目SOHO物件推奨オフィス物件推奨
来客頻度ほぼ無し(月数回程度)頻繁にある(週数回以上)
法人登記不要、またはバーチャルオフィス併用必須(本店所在地として利用)
雇用予定当面なし将来的に増員予定あり
予算優先度コスト削減を最優先信用と機能性を最優先

来客が少ない個人事業主はSOHOが向いている

以下のような特徴に当てはまる方は、SOHO物件が適していると言えます。

まず、仕事のやり取りがメールやチャット、オンライン会議で完結し、対面での打ち合わせがほとんど発生しない業種の方です。ライター、プログラマー、WEBデザイナー、イラストレーターなどがこれに該当します。来客がなければ、看板を出せないことやエントランスがオートロックであることはデメリットになりません。

次に、とにかく固定費を下げて事業を継続させたいと考えている方です。創業直後で売上が安定しない時期は、毎月の家賃負担が経営を圧迫します。SOHO物件であれば、住居費と事務所費を一本化できるため、生活費全体のコストダウンが図れます。また、通勤時間がなくなることで、家事や育児と仕事を両立させたい方にも最適です。

人の出入りや登記が必要ならオフィス物件を選ぶ

一方で、以下のような条件に当てはまる場合は、最初から事務所契約(オフィス物件)やレンタルオフィスを検討すべきです。

法人登記が必須であり、名刺やホームページに本店所在地として堂々と住所を記載したい場合です。SOHO物件では登記ができない、あるいは住所利用に制限がかかることが多いため、ビジネスの信頼性を重視するならオフィス物件が確実です。

また、クライアントやパートナー企業が頻繁に来社する場合や、スタッフを雇用して複数人で作業をする場合もオフィス物件が適しています。SOHO物件は居住用マンションの一室であるため、商談相手を招く際に生活感が見えてしまったり、狭い玄関で靴を脱がせたりすることになり、ビジネス上の演出としてマイナスになることがあります。トイレが執務スペースのすぐ横にあるなどの間取りの問題も、来客時には気まずい要素となります。

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快適なSOHO物件を選ぶポイントは?

SOHO物件での生活を成功させるためには、物件選びの段階で「働きやすさ」と「住みやすさ」の両方をシビアにチェックする必要があります。単に「SOHO可」という条件だけで飛びつくと、後悔することになりかねません。最後に、快適な環境を手に入れるための具体的な選び方のポイントを紹介します。

仕事と生活の動線を分けられる間取りを選ぶ

SOHO物件選びで最も重要なのが間取りです。理想的なのは、玄関から入ってすぐの場所に仕事用の部屋があり、そこを通らずにリビングや寝室などのプライベート空間へ行ける配置です。あるいは、仕事部屋と生活空間が廊下を挟んで完全に独立している「振り分けタイプ」の間取りもおすすめです。

逆に、リビングを通らないと仕事部屋に行けない間取りや、ワンルームでベッドの横にデスクを置かざるを得ない間取りは避けた方が無難です。これらは仕事とプライベートの切り替えが難しく、ダラダラと仕事をしてしまったり、逆に仕事モードになれずに生産性が落ちたりする原因となります。もしワンルームを選ぶ場合は、可動式のパーティションや本棚で空間を物理的に仕切ることができる広さがあるかを確認してください。また、トイレや洗面所への動線も重要です。オンライン会議中に家族が映り込まないか、来客時にプライベートな洗濯物が見えない位置にあるかなどもシミュレーションしてみましょう。

周辺環境やセキュリティを事前に確認する

自宅で長時間仕事をすることになるため、周辺環境のチェックも欠かせません。昼間の騒音状況は必ず確認しましょう。例えば、近隣で大規模な工事が行われていたり、学校や公園が隣接していたりすると、日中のチャイムや子供の声が気になって集中できないことがあります。内見はできれば平日と休日の両方、あるいは昼と夜の時間帯を変えて行うことをおすすめします。

また、セキュリティ面も重要です。女性の一人暮らし兼事務所などの場合は、オートロックや防犯カメラの有無はもちろん、管理人が常駐しているかどうかも安心材料になります。さらに、急な打ち合わせや気晴らしのために、徒歩圏内に作業ができるカフェやコワーキングスペースがあるか、郵便局や銀行、コンビニが近くにあるかといった利便性も、SOHO生活の快適さを大きく左右します。

まとめ

SOHO物件は、コストを抑えながら自宅で仕事ができるという点で、フリーランスや個人事業主にとって非常に合理的な選択肢です。一方で、法人登記ができない、来客対応が難しい、設備や環境が業務向きとは限らないといった制約もあります。

もし、
・自宅住所を公開せずにビジネスを行いたい
・将来的に法人登記や対外的な信用も視野に入れている
・来客や打ち合わせの機会が少しずつ増えてきた
・仕事と生活は分けたいが、固定費はできるだけ抑えたい
と感じているのであれば、SOHO物件とあわせて「レンタルオフィス」という選択肢も検討する価値があります。

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そんな方にとって、THE HUBは自宅と本格オフィスの中間にある現実的な選択肢です。
SOHO物件とレンタルオフィス、それぞれの特徴を理解したうえで、今の事業フェーズに合った拠点を選ぶことが、長く安定してビジネスを続ける近道になります。

writing by:nex株式会社 事業企画室

nexでは、レンタルオフィス・コワーキングスペース・バーチャルオフィスに関する情報を、コラム記事を通じてわかりやすく発信しています。
自社サービスに限らず、これから働き方を見直したい方・新しい拠点を検討している方に役立つ業界情報をお届けしていきます。

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