弁護士はバーチャルオフィスで登録不可?禁止の理由と審査を通す代替案

2026年1月8日

弁護士として独立開業を検討する際、初期費用やランニングコストを抑えることは経営上の大きな課題です。一般企業であればバーチャルオフィスやシェアオフィスを活用してコスト削減を図ることが可能ですが、弁護士業務においては事情が異なります。
実は、多くの弁護士会において、バーチャルオフィスやシェアオフィスでの事務所登録は原則として認められていません。これから開業を目指す先生方が物件選びで失敗しないために、なぜこれらのオフィス形態が禁止されているのか、その理由と審査をクリアするための現実的な代替案について詳しく解説します。

弁護士はバーチャルオフィスやシェアオフィスでの登録ができない

結論から申し上げますと、弁護士が事務所を開設する際、実体のないバーチャルオフィスや、不特定多数が利用するオープンスペース型のシェアオフィスで登録を行うことは極めて困難です。
ただし、施錠可能な個室を有し、守秘義務を遵守できるレンタルオフィスや個室型シェアオフィスであれば、各弁護士会が定める要件(個人情報管理、プライバシー保護、独立した電話回線・郵便受け等)を満たすことで登録が可能です。

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東京弁護士会をはじめとする主要な会での審査基準

特に会員数の多い東京弁護士会や大阪弁護士会などの主要な単位会では、事務所の設置基準を厳格に運用しています。
これらの会では、事務所として登録するために必要な物理的要件を細かく定めており、単に郵便物を受け取るだけの住所貸しサービス(バーチャルオフィス)は、そもそも事務所としての体をなしていないとみなされます。
都市部において独立開業を目指すのであれば、バーチャルオフィスでの登録は不可能であるという前提で準備を進める必要があります。

住所貸しのみやオープンスペースでは登録が拒否される

弁護士会が問題視するのは、業務を行うための専用スペースが確保されているかどうかという点です。
バーチャルオフィスは住所という情報の利用権を借りるものであり、物理的な執務空間は存在しないため、登録が認められません。また、近年増えているコワーキングスペースやシェアオフィスのフリーアドレス席も同様に、登録が拒否される対象となります。
ただし、コワーキングスペースやシェアオフィスでも、施錠可能な個室など専用の執務スペースが確保され、秘密保持やプライバシー保護の要件を満たす場合は、法律事務所として登録することが可能です。他の利用者と同じ空間で業務を行う環境では、弁護士に課せられた職責を全うすることができないと判断されるためです。
したがって、安易にコストだけでこれらのサービスを契約してしまうと、いざ登録申請を行った際に受理されず、開業自体が頓挫してしまうリスクがあります。

弁護士会がバーチャルオフィス等の利用を禁止する根本的な理由

なぜ弁護士会はこれほどまでにオフィスの形態にこだわるのでしょうか。それは単なる形式的な問題ではなく、弁護士という職業が社会インフラとして果たすべき役割と、依頼者に対する重い責任に直結しているからです。

依頼者のプライバシーと秘密を守る守秘義務の観点

弁護士には、職務上知り得た秘密を保持する高度な守秘義務が課せられています。これは弁護士業務の根幹をなすものであり、もし情報漏洩が起きれば、依頼者に多大な損害を与えるだけでなく、弁護士制度全体の信頼を揺るがすことになります。
シェアオフィスのオープンスペースや、壁の上部が開いているような半個室では、電話の内容や依頼者との会話が第三者に筒抜けになる危険性があります。
また、パソコンの画面を背後から覗き見られるリスクも排除できません。このような環境は守秘義務を遵守するための体制として不十分であるため、事務所としての利用が認められないのです。

弁護士業務としての品位と事務所の実体性確保の必要性

法律事務所は、依頼者が安心して相談できる場所であり、かつ外部からの不当な干渉を受けずに独立して職務を遂行できる拠点でなければなりません。
実体のないバーチャルオフィスは、弁護士法第20条の事務所設置義務に抵触するため認められておらず、所在不明や責任回避の手段として悪用される懸念があり、市民からの信頼を損なう恐れがあります。
複数事務所の設置禁止は、非弁護士の温床となることの防止を主たる立法趣旨としており、事務所の実体性確保はこうした趣旨とも関連しています。そのため、弁護士会は事務所の実体性を厳しく審査し、守秘義務を確保できる物理的な執務環境を求めているのです。

登録審査を確実に通過するために満たすべきオフィスの要件

では、どのようなオフィスであれば登録が可能なのでしょうか。審査基準は各弁護士会によって多少異なりますが、一般的に求められる「法律事務所としての必須要件」は共通しています。これらを満たすことが、開業への第一歩となります。

審査項目必要とされる基準バーチャル/シェアオフィスの現状
空間の独立性天井まで壁がある完全個室住所のみ、またはオープンスペースのため不可
守秘義務防音性が高く会話が漏れない周囲に人がおり会話が筒抜けのため不可
通信設備固定電話・FAXの設置と常時対応転送サービスのみでは実体不足とされる
書類保管施錠可能な専用キャビネット共用スペースでの保管はセキュリティ上不可

外部から遮断され防音性が確保された完全個室であること

最も重要な要件は「完全個室または完全に仕切られた執務空間」であることです。これは秘密保持義務を果たすための空間であり、隣室や廊下に会話が漏れない環境が確保されていることが必須です。
レンタルオフィスを利用する場合、個室またはパーテーション等で完全に仕切られている構造であれば認められます。ただし、欄間(壁の上部)が開いているタイプや、都度予約制の会議室、バーチャルオフィス・シェアオフィスは認められません。また、書類の施錠管理や電話・FAXの個別回線なども重要な要件となります。

固定電話やFAX機器を設置し常時対応できる体制があること

連絡体制の確保も重要な審査ポイントの一つですが、固定電話やFAXの登録は任意です。
携帯電話番号は弁護士名簿に登録できませんが、固定電話がない場合は電話番号欄を空欄にすることで「電話番号登録なし」として登録が可能です。
なお、裁判所や検察庁との書類のやり取りでは、2024年時点ではまだFAXが利用されていますが、民事裁判手続のIT化が2026年5月までに全面施行される予定であり、今後は電子提出システム(mints)による電子化が進みます。バーチャルオフィスの転送電話サービスだけでは、主たる事務所として所在の実体がないと判断される可能性があります。

重要書類を安全に保管するための施錠可能な設備があること

弁護士は訴訟記録や証拠品、預かり金など、紛失が許されない重要物を管理します。
弁護士法第20条の事務所設置義務と第23条の秘密保持義務を実効的に履行するため、執務スペース内に施錠可能なキャビネットや金庫を設置するなど、外部の者や他の施設利用者が容易にアクセスできない保管設備を確保することが重要です。
具体的な登録要件は各弁護士会によって異なる場合がありますので、事前に所属予定の弁護士会に確認することをお勧めします。

コストを抑えつつ登録可能な代替案としてのレンタルオフィス

バーチャルオフィスが使えないとなると、高額な賃貸オフィスを借りるしかないのかと落胆されるかもしれません。しかし、コストを抑えつつ審査をクリアする現実的な選択肢として「完全個室型のレンタルオフィス」があります。

【関連記事】弁護士事務所に最適!信頼性と柔軟性を兼ね備えたレンタルオフィスのメリット

審査基準をクリアできる完全個室タイプのメリット

レンタルオフィスの中には、士業の開業を想定したハイグレードな完全個室プランを提供している施設があります。こうしたオフィスは、弁護士会の求める「独立性」や「機密性」の要件を満たしています。
専用の電話回線を引くことができ、個室内でFAXの送受信も可能です。バーチャルオフィスほど安価ではありませんが、通常の賃貸物件に比べれば格段に費用を抑えつつ、正規の事務所として登録することができます。

賃貸契約と同様の独立性を持ちながら初期費用を削減できる

通常の賃貸オフィスを借りる場合、敷金や礼金、内装工事費、什器の購入費などで数百万円規模の初期投資が必要になります。一方、レンタルオフィスであれば、内装や基本的な家具、インターネット回線があらかじめ備えられているため、初期費用を数十万円程度に抑えることが可能です。
また、受付対応や会議室の利用など、ビジネスに必要な機能が共用サービスとして提供されている点も大きなメリットです。経営のリスクを最小限にしつつ、弁護士として恥ずかしくない執務環境を手に入れるには、最適な選択肢と言えるでしょう。

弁護士会の登録審査に対応した、完全個室のオフィスをお探しならnexの「THE HUB」がおすすめです。防音性の高い専用個室を完備しており、守秘義務が求められる法律事務所の開設に最適です。

敷金・礼金不要で初期費用を大幅に抑えつつ、都心の一等地に拠点を構えることができます。審査に通る確実なオフィスをお探しの方は、ぜひ詳細をご確認ください。

writing by:nex株式会社 事業企画室

nexでは、レンタルオフィス・コワーキングスペース・バーチャルオフィスに関する情報を、コラム記事を通じてわかりやすく発信しています。
自社サービスに限らず、これから働き方を見直したい方・新しい拠点を検討している方に役立つ業界情報をお届けしていきます。

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