バーチャルオフィスで法人登記は可能!メリット・デメリットと注意点を解説
2025年10月24日
これから法人を設立しようとする起業家にとって、最初の大きな壁の一つが「本店所在地の住所」をどうするか、という問題です。自宅で仕事をするスタイルが一般的になった今、高額な賃貸オフィスを契約するのは現実的ではありません。かといって、自宅のマンションの住所を登記して、不特定多数に公開することには、プライバシーや信用の観点から大きな抵抗があるでしょう。
その有力な解決策として注目されているのが「バーチャルオフィス」です。しかし、「架空の住所で法人登記なんて、本当にできるの?」「法的に問題はないの?」といった疑問や不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、バーチャルオフィスを利用した法人登記の可否から、そのメリット・デメリット、具体的な手続きの流れ、そして失敗しないためのオフィス選びのポイントまで、起業家が知りたい情報を網羅的に解説します。
目次
バーチャルオフィスで法人登記はできる?

物理的なスペースを持たず、事業用の住所や電話番号などをレンタルするサービスがバーチャルオフィスです。まずは、多くの方が抱く最も大きな疑問にお答えします。
【関連記事】コラム|もう迷わない!バーチャルオフィスの勘定科目と経費処理のポイント
結論:法人登記は合法で全く問題ない
結論から言うと、バーチャルオフィスの住所を本店所在地として法人登記を行うことは、法的に全く問題ありません。会社法上、法人登記に必要なのは事業を行う拠点となる「住所」であり、その場所に物理的な執務スペースがなければならないという決まりはないのです。 実際に、多くのスタートアップ企業やフリーランスから法人成りした企業が、バーチャルオフィスを活用して法人登記を行い、ビジネスを展開しています。
| 賃貸オフィス | バーチャルオフィス | |
| 法人登記 | 可能 | 可能 |
| 物理スペース | あり | なし |
| コスト | 高い | 低い |
バーチャルオフィスで法人登記するメリット

バーチャルオフィスを登記に利用することは、特にスモールスタートを目指す起業家にとって、多くのメリットをもたらします。
自宅住所を公開せずプライバシーを守れる
法人登記を行うと、会社の本店所在地は国税庁の法人番号公表サイトなどを通じて、誰でも閲覧できる状態になります。自宅住所で登記した場合、その住所が全世界に公開されることになり、プライバシーやセキュリティの面で大きなリスクを伴います。バーチャルオフィスを利用すれば、このリスクを回避できます。(なお、2024年10月からは代表取締役の住所について、申請により市区町村レベルまでの表示に制限することが可能になりました。)
低コストで事業を開始できる
賃貸オフィスを契約する場合、保証金や仲介手数料、内装工事費といった高額な初期費用に加え、毎月の賃料や光熱費が発生します。バーチャルオフィスであれば、月々数千円から数万円程度の利用料で済むため、事業開始時のコストを劇的に抑えることが可能です。これにより、節約できた資金を事業そのものに投資できます。
都心の一等地の住所で信頼性が向上する
バーチャルオフィスの多くは、丸の内や銀座、渋谷、新宿といった、都心の一等地やビジネス街に住所を構えています。これらの住所を自社の本店所在地としてウェブサイトや名刺に記載できることは、取引先や顧客からの社会的信用を高める上で大きなアドバンテージとなります。
【関連記事】スタートアップの第一歩に!バーチャルオフィスのメリットと選び方ガイド
バーチャルオフィスで法人登記するデメリットと注意点

多くのメリットがある一方で、バーチャルオフィス特有のデメリットや、事前に理解しておくべき注意点も存在します。
特定の業種では許認可が得られない
事業を行うために国や自治体からの許認可が必要な業種の中には、バーチャルオフィスの住所では認可が下りないものがあります。例えば、事業を行うための独立したスペースが要件となる人材派遣業、士業(弁護士、税理士など)、古物商、不動産業などが該当します。これらの事業で起業を考えている場合は、バーチャルオフィスの利用は適していません。
銀行の法人口座開設の審査が厳しくなる場合がある
近年、マネーロンダリングなどの犯罪防止のため、金融機関は法人口座の開設審査を厳格化しています。その中で、バーチャルオフィスの利用が、審査において不利に働く可能性が指摘されています。ただし、これは一概には言えず、しっかりとした事業計画書を提出したり、固定電話番号を取得したり、あるいは口座開設支援サービスのあるバーチャルオフィスを選ぶことで、問題なく開設できるケースも多くあります。
他の企業と住所が重複する
バーチャルオフィスは、一つの住所を複数の企業で共有するサービスです。そのため、自社の住所をインターネットで検索すると、他の多数の企業がヒットすることがあります。これが直接的な不利益に繋がることは稀ですが、気にする取引先もいるかもしれません。
物理的な作業スペースがない
当然ながら、バーチャルオフィスは住所貸しが基本のサービスであるため、そこで仕事をすることはできません。商談や打ち合わせのスペースが必要な場合は、別途、時間貸しの会議室が併設されているバーチャルオフィスを選ぶか、コワーキングスペースなどを利用する必要があります。
バーチャルオフィスで法人登記する手順

実際にバーチャルオフィスを利用して法人登記を行う際の、基本的な流れを解説します。
手順1:登記可能なバーチャルオフィスを選ぶ
まずは、法人登記に利用できる住所を提供しているバーチャルオフィス運営会社を探し、契約します。後述する選び方のポイントを参考に、自社のニーズに合ったサービスを選びましょう。
手順2:バーチャルオフィスの契約と住所の取得
選んだ運営会社と利用契約を結びます。この際、法人登記に利用する旨を伝え、必要な手続きを確認します。契約が完了すると、登記に使用する住所が正式に利用可能になります。
手順3:法務局で法人設立登記の申請
定款の作成や資本金の払い込みなど、通常の法人設立手続きを進めます。そして、本店所在地の欄に、契約したバーチャルオフィスの住所を記載して、法務局に登記申請を行います。これで、バーチャルオフィスを本店所在地とする法人が誕生します。
法人登記で失敗しない!バーチャルオフィスの選び方

バーチャルオフィスと一言で言っても、サービス内容は様々です。以下の点を比較検討し、自社に合ったサービスを選びましょう。
| 比較ポイント | 確認事項 |
| サービス内容 | 住所貸しだけでなく、郵便物転送、電話転送・秘書代行、会議室利用などのオプションは必要か。 |
| 運営会社の信頼性 | 運営実績は長いか。過去に行政処分などを受けていないか。解約手続きは明確か。 |
| 料金体系 | 初期費用、月額基本料、オプション料金は明確か。郵便物転送の頻度や重量による追加料金はないか。 |
| 法人口座開設の実績 | 提携金融機関の紹介や、口座開設サポートの実績が豊富か。 |
詳細は下記コラムにてご確認ください。
【関連記事】バーチャルオフィスの選び方で失敗しない!7つの比較ポイントと注意点を解説
まとめ:バーチャルオフィスを賢く活用しよう
バーチャルオフィスを利用した法人登記は、現代の多様な働き方にマッチした、非常にスマートな起業スタイルです。初期費用を大幅に抑え、プライバシーを守りながら、ビジネスの信用度を高めることができます。
いくつかの注意点やデメリットも存在しますが、それらを正しく理解し、自社の事業内容に合ったサービスを慎重に選ぶことで、リスクを回避することは十分に可能です。この記事を参考に、バーチャルオフィスを賢く活用し、あなたのビジネスを力強くスタートさせてください。
THE HUBでは、東京都内を中心に全国各地でバーチャルオフィスを50拠点超、展開しています。郵便転送・会議室利用・法人登記など、起業初期に必要な機能をすべて備えたプランで、あなたの新しいスタートをサポートします。

writing by:nex株式会社 事業企画室
nexでは、レンタルオフィス・コワーキングスペース・バーチャルオフィスに関する情報を、コラム記事を通じてわかりやすく発信しています。
自社サービスに限らず、これから働き方を見直したい方・新しい拠点を検討している方に役立つ業界情報をお届けしていきます。

writing by:nex株式会社 事業企画室
nexでは、レンタルオフィス・コワーキングスペース・バーチャルオフィスに関する情報を、コラム記事を通じてわかりやすく発信しています。
自社サービスに限らず、これから働き方を見直したい方・新しい拠点を検討している方に役立つ業界情報をお届けしていきます。
