セットアップオフィスの費用相場は?賃貸との違いや内訳、選び方のポイントを解説
2025年11月20日
オフィス移転を検討する際に、「セットアップオフィス」という選択肢が注目を集めています。内装や家具が予め備わっているため、初期費用や手間を大幅に削減できるのが魅力です。しかし、「通常の賃貸オフィスと比べて結局どちらがお得なのか」「具体的な費用相場がわからない」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。この記事では、セットアップオフィスの費用相場や内訳、メリット・デメリット、そして自社に最適なオフィスを選ぶためのポイントを詳しく解説します。
目次
セットアップオフィスの費用相場

セットアップオフィスの利用を検討する上で最も気になるのが費用です。ここでは、初期費用と月額費用に分けて、それぞれの内訳と相場を解説します。
主要エリア別の坪単価の目安
オフィスの賃料は、エリアによって大きく変動します。以下は、東京都内の主要ビジネスエリアにおける、セットアップオフィスと通常オフィスの賃料相場(坪単価)の比較表です。移転を検討しているエリアの相場感を把握するための参考にしてください。
| エリア | 通常オフィスの賃料相場(1坪あたり) | セットアップオフィスの賃料相場(1坪あたり) |
| 千代田区 | 約18,800円 | 約24,100円 |
| 港区 | 約22,600円 | 約26,700円 |
| 中央区 | 約17,200円 | 約23,200円 |
| 新宿区 | 約17,000円 | 約21,300円 |
| 渋谷区 | 約24,150円 | 約33,600円 |
初期費用の内訳と相場
セットアップオフィスの初期費用は、一般的な賃貸オフィスに比べて大幅に抑えることが可能です。主な内訳は、敷金(保証金)、礼金、仲介手数料、そして初月分の賃料です。内装工事費や家具購入費が不要なため、トータルコストを大きく削減できます。敷金は賃料の3ヶ月から6ヶ月分が相場ですが、物件によっては保証会社の利用を条件に減額されるケースもあります。
月額費用の内訳と相場
月額費用は主に「賃料」と「共益費」で構成されます。セットアップオフィスの賃料は、貸主が負担した内装工事費や家具費用が上乗せされるため、周辺の一般的な賃貸オフィスの相場よりも割高になる傾向があります。具体的には、通常のオフィス賃料に1坪あたり3,000円から10,000円程度上乗せされるのが一般的です。共益費は、ビルの共用部分の維持管理に使われる費用です。
セットアップオフィスのメリット

費用面以外にも、セットアップオフィスには多くのメリットが存在します。企業の状況によっては、賃料の割高感を上回る価値を感じられるでしょう。
初期費用を大幅に削減できる
最大のメリットは、初期費用を大幅に抑えられる点です。一般的なオフィスでは、内装工事費だけで坪単価15万円から30万円程度かかることも珍しくありません。セットアップオフィスではこの費用が不要になるため、特に資金調達が重要なスタートアップやベンチャー企業にとって大きな魅力となります。
入居までの時間を短縮できる
オフィス移転には、物件探しから始まり、内装デザインの設計、工事業者の選定、実際の工事と、多くの時間と手間がかかります。セットアップオフィスなら、これらのプロセスを大幅に短縮し、契約から最短1ヶ月程度で入居することが可能です。これにより、担当者は本来の業務に集中でき、事業の機会損失を防ぐことにも繋がります。
デザイン性の高いオフィス環境
セットアップオフィスは、プロのデザイナーが手掛けた、機能的かつデザイン性の高い内装が施されている物件が多いのも特徴です。おしゃれで快適なオフィスは、従業員の満足度やモチベーション向上に寄与するだけでなく、採用活動においても企業の魅力をアピールする強力な武器となります。
オフィス開設に関わる煩雑な業務を削減できる
一般的なオフィス移転プロジェクトでは、内装業者、什器メーカー、ITインフラ業者など、多数のパートナー企業を選定し、個別に折衝・管理する必要があります。これは、本業を抱える担当者にとって非常に大きな負担です。
セットアップオフィスを利用すれば、こうしたオフィス開設に関わる煩雑なプロジェクト管理業務の大部分を削減できます。窓口が一本化されるため、担当者は本来注力すべきコア業務に集中することができ、組織全体の生産性向上にも繋がります。
セットアップオフィスのデメリット

多くのメリットがある一方で、セットアップオフィスにはいくつかのデメリットも存在します。契約後に後悔しないよう、事前に注意点を把握しておくことが重要です。
レイアウトの自由度が低い
内装が完成しているため、自社の希望通りにレイアウトを自由に変更することは困難です。会議室の数や配置、執務スペースの広さなどが企業の働き方に合わない場合、業務効率が低下してしまう可能性も考えられます。物件を選ぶ際には、自社の業務フローや将来の人員計画と照らし合わせて、慎重に検討する必要があります。
通常のオフィスより賃料が割高になる
前述の通り、内装や家具のコストが賃料に反映されるため、月々のランニングコストは周辺の同規模のオフィスよりも高くなる傾向にあります。初期費用の削減効果と、数年単位で支払う月額賃料の総額を比較し、トータルコストで判断することが重要です。一般的に、2年半から3年程度の入居期間であれば、セットアップオフィスの方がコストメリットは大きいと言われています。
物件数が限られている
セットアップオフィスは人気が高まっている一方で、一般的な賃貸オフィスに比べると、まだ物件数は限られています。特に、希望のエリアや広さ、賃料といった条件が厳しい場合、理想の物件を見つけるまでに時間がかかる可能性があります。そのため、オフィス移転を考え始めたら、早めに情報収集を開始することをお勧めします。
費用を抑えて最適なオフィスを選ぶポイント

セットアップオフィスのメリットを最大限に活かし、デメリットを回避するためには、物件選びの際にいくつかのポイントを押さえることが大切です。
複数の物件を比較検討する
一つの物件に絞らず、必ず複数の物件を内覧し、比較検討しましょう。賃料や広さといったスペックだけでなく、実際の動線や設備の使い勝手、周辺環境などを自分の目で確かめることが重要です。複数の不動産会社に相談し、幅広い選択肢の中から最適な物件を見つけ出すことをお勧めします。
事業計画に合った広さと設備を選ぶ
物件によっては、一定期間の賃料が無料になる「フリーレント」が付いている場合があります。フリーレント期間は1ヶ月から長いものでは6ヶ月以上になることもあり、初期費用をさらに抑える有効な手段です。交渉によって適用されるケースもあるため、契約前に必ず確認・相談してみましょう。また、契約期間や更新条件についても事前にしっかり確認しておくことがトラブルを避ける上で重要です。
事業計画に合った広さと設備を選ぶ
現在の従業員数だけでなく、将来的な人員増加も見据えて、適切な広さのオフィスを選びましょう。ただし、過剰に広いスペースは無駄なコストに繋がります。企業の成長フェーズに合わせて、柔軟に移転できるのもセットアップオフィスの利点です。また、会議室の数やWeb会議用の個室ブースの有無など、自社の働き方に必要な設備が整っているかどうかも重要な選定基準となります。
セットアップオフィス以外におすすめの費用を抑えられるオフィス

セットアップオフィスは、内装や家具が予め用意されており、迅速に事業を開始できる魅力的な選択肢です。しかし、その利便性から賃料が周辺の相場より高く設定されている傾向があります。そこで、セットアップオフィスの相場観と比較しながら、初期費用やランニングコストを抑えたいと考える企業におすすめのオフィス形態をご紹介します。それぞれの特徴を理解し、自社の事業フェーズや働き方に最適なオフィスを見つけましょう。
以下に、各オフィス形態の特徴をまとめました。
| オフィス形態 | 初期費用 | 月額費用 | スペース | 法人登記 | こんな企業におすすめ |
| セットアップオフィス | 低 | 高 | 個室 | 可 | 急成長中のベンチャー プロジェクト単位での利用 |
| バーチャルオフィス | 低 | 低 | なし | 可(要確認) | 自宅で作業するフリーランス EC事業者 |
| レンタルオフィス | 低 | 中 | 個室 | 可 | 少人数のスタートアップ 士業 |
| コワーキングスペース | 低 | 低 | 共有 | 可(要確認) | 交流を求めるフリーランス 多様な働き方を求める企業 |
バーチャルオフィス
バーチャルオフィスは、物理的な執務スペースを持たず、事業に必要な住所や電話番号などをレンタルできるサービスです。主に自宅で仕事をする個人事業主や、オフィス費用を極限まで抑えたいスタートアップに利用されています。
メリットは、なんといっても費用の安さです。月額数千円から都心一等地の住所を利用できるため、企業の信頼性を高める効果も期待できます。また、自宅住所を公開せずに法人登記ができるため、プライバシー保護の観点からも有効です。
一方で、デメリットとしては、実際の作業スペースがないため、来客対応や従業員との共同作業には不向きです。また、業種によっては許認可が下りにくい場合や、法人口座の開設審査が厳しくなる可能性も考慮する必要があります。
レンタルオフィス
レンタルオフィスは、業務に必要なデスクや椅子、インターネット環境などが予め整えられた個室スペースを借りる形態のオフィスです。一般的な賃貸オフィスと異なり、敷金や礼金が不要な場合が多く、初期費用を大幅に抑えることができます。
メリットは、契約後すぐに業務を開始できる手軽さと、プライバシーが確保された専用空間で仕事に集中できる点です。法人登記も可能な物件がほとんどで、スタートアップ企業や地方企業のサテライトオフィスとして活用しやすいでしょう。
ただし、内装やレイアウトの自由度は低く、自社の好みに合わせたカスタマイズは基本的にできません。また、提供されるサービスによっては、同じ面積の賃貸オフィスよりも月額費用が割高になる可能性もあります。
コワーキングスペース
コワーキングスペースは、一つの大きな空間を様々な業種や所属の異なる人々と共有して仕事をする場所です。フリーランスや起業家、企業のテレワーク拠点など、多様な働き方に対応する場として急速に普及しています。
最大のメリットは、賃貸オフィスを借りるよりも低コストで作業場所を確保できる点です。利用者同士の交流が生まれやすく、新たなビジネスチャンスや人脈形成につながる可能性も秘めています。
その反面、オープンスペースであるがゆえに、周囲の会話や物音が気になり集中しにくい場合があります。また、不特定多数の人が出入りするため、情報漏洩などのセキュリティリスクには十分な注意が必要です。
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相場を比較しながら、理想のオフィスを効率的に見つけることができますので、まずはどのような物件があるかチェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
セットアップオフィスは、初期費用と入居までの時間を大幅に削減できる、非常に魅力的なオフィス形態です。月額賃料は割高になる傾向がありますが、特に数年以内の移転を視野に入れている成長企業にとっては、トータルコストで大きなメリットをもたらします。本記事で解説した費用相場やメリット・デメリットを参考に、自社の事業計画や働き方に最適なオフィス選びを進めてください。

writing by:nex株式会社 事業企画室
nexでは、レンタルオフィス・コワーキングスペース・バーチャルオフィスに関する情報を、コラム記事を通じてわかりやすく発信しています。
自社サービスに限らず、これから働き方を見直したい方・新しい拠点を検討している方に役立つ業界情報をお届けしていきます。

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