【2026年最新】個人が特商法で住所を公開せずにネットショップを運営する方法

2026年8月2日

ネットショップを始めたいけれど、自宅の住所を公開するのは不安だと悩んでいる方に向けて書いています。この記事では、個人が特定商取引法(特商法)を守りつつ、自宅の住所を安全に隠す方法を解説します。読み終わると、法律に違反することなくプライバシーを守りながら、安心してビジネスをスタートできるようになります。

ネットショップ開設するなら

ネットショップを始める際、自宅の住所を公開することに不安を感じる方は多いのではないでしょうか。個人であっても、インターネット上で商品を販売する場合は、原則として住所の公開が必要になります。ここでは、法律の背景と、住所を公開しない場合のリスクについて詳しく説明します。

項目内容影響・注意点
適用される法律特定商取引法(通信販売)インターネット販売は通信販売に該当する
対象となる事業者の範囲開業届の有無や事業規模ではなく、営利の意思をもって反復継続して取引しているかで判断主婦のフリマ販売や会社員の副業ハンドメイド販売も規制対象になり得る
記載が必要な情報氏名、住所、電話番号など個人の場合も原則として公開が求められる
省略の可否条件付きで可能(広告上に開示請求への対応を明記し、実際に遅滞なく提供できる体制を整える)条件を満たさず省略すると、業務改善指示・業務停止命令・プラットフォームのアカウント停止などのリスクがある

特定商取引法(特商法)の基本的な目的

特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とした法律です。インターネット販売は顔が見えない取引となるため、購入者が安心して買い物ができる環境を整える必要があります。事業者の所在を明らかにし、万が一のトラブル時に連絡が取れるようにするために、氏名や住所の記載が義務付けられています。

個人事業主や副業で販売を行う場合であっても、営利の意思をもって反復継続して取引を行う場合は、特定商取引法上の販売業者に該当し、通信販売に関する規制の対象となります。詳しい情報は消費者庁の特定商取引法ガイドにて確認できます。法律の趣旨を理解することは、購入者からの信頼を得るためにも重要です。

個人事業主・副業でも特商法の適用対象になるケース

個人事業主や副業だから関係ないと考えてしまう方も少なくありませんが、これは誤解です。特定商取引法上は、開業届の有無や事業規模の大小ではなく、営利の意思をもって反復継続して取引を行っているかどうかで販売業者に該当するかが判断されます。

つまり、フリマアプリやハンドメイドサイトで継続的に商品を販売している主婦の方や、本業の合間にオリジナルグッズを売っている会社員の方も、この条件に当てはまれば特定商取引法の規制対象です。一度だけ不要品を売るような取引とは区別されるため、「販売を繰り返す予定があるか」「利益を目的としているか」という2点を自分のケースに当てはめて考えてみることが、最初の判断材料になります。

なお、自分の販売活動が対象に当たるかどうか判断に迷う場合は、自己判断で表記を省略するのではなく、消費者庁や弁護士などの専門家に相談したうえで対応を決めることをおすすめします。

住所や電話番号を非公開にするリスク

自宅の住所をインターネット上に公開することには、プライバシーの観点で懸念が伴います。なお、特定商取引法では、住所や電話番号の記載を一律に強制しているわけではなく、一定の条件を満たせば省略することも認められています。

具体的には、消費者からの請求によって広告表示事項を記載した書面または電子メール等を遅滞なく提供する旨を広告上に明記し、かつ、実際に請求があった場合に遅滞なく提供できる体制を整えておくことが条件です。

ただし、この条件を満たさないまま自己判断で記載を省略した場合は、法律違反とみなされる可能性があります。架空の住所を記載したり、記載項目を不当に削除したりすると、消費者庁から業務改善の指示を受けるおそれがあるほか、最悪の場合は業務停止命令の対象になることも考えられます。さらに、プラットフォーム側からアカウントの停止措置を受けるリスクも否定できません。購入者にとっても販売元の情報が不明確なショップは不信感につながり、売上にも悪影響を及ぼすと考えられるため、ルールを守りつつ安全を確保する方法を検討することが大切です。

自宅の住所を公開することに抵抗がある場合でも、いくつかの代替手段を活用することでプライバシーを守ることができます。ご自身のビジネスの規模や、利用するサービスに合わせて、最適な方法を選んでいくことが推奨されます。

方法特徴費用の目安
プラットフォームの機能利用運営会社の情報が代わりに表示される無料(プラットフォーム利用料のみ)
バーチャルオフィスの利用ビジネス用の住所を借りて表記できる月額数百円〜数万円程度
住所表示の省略制度請求に応じて遅滞なく開示する旨を記載する無料(ただし開示請求があれば対応が必要)

ショップ作成プラットフォームの非公開設定を活用する

初心者の方に導入しやすいのが、利用しているネットショップ作成サービスの非公開設定機能を使う方法です。特定のプラットフォームでは、特商法に基づく表記の欄に、販売者の自宅住所ではなくプラットフォーム運営会社の住所や電話番号を代わりに表示させることができます。この機能を利用すれば、特商法に基づく表記ページ上でご自身の自宅住所が表示されることを防げます。

商品発送時の差出人住所や納品書にはショップオーナー自身の住所を記載する必要がある場合があるほか、返品依頼や取引に関する問い合わせがあった場合には住所・連絡先を開示する義務がある点に注意が必要です。設定は管理画面からチェックを入れるだけで完了する場合が多く、費用は無料(プラットフォーム利用料のみ)で、追加の費用がかからない点がメリットと言えます。ただし、この機能が使えるのは当該プラットフォームで開設したショップに限られるため、WordPress等で完全に自前構築したオンラインショップの場合には別の対策が必要になります。

バーチャルオフィスを利用して専用の住所を借りる

本格的にビジネスを展開したい方には、バーチャルオフィスを利用して事業用の住所を借りる方法が向いています。

バーチャルオフィスとは、実際の作業スペースを持たずに住所や電話番号だけをレンタルできるサービスです。この住所を特商法の表記に使用することで、自宅の住所を完全に非公開にすることが可能になります。消費者庁の通信販売広告Q&Aでも、バーチャルオフィスの住所を特商法の表記に使用できるとの見解が示されています。ただし、バーチャルオフィスの住所・電話番号が連絡先としての機能を果たすことについて運営事業者との合意がなされていることなど、所定の要件を満たす必要があります。
月額数百円〜数万円程度の費用はかかりますが、プライバシーの保護とプロフェッショナルな印象を両立できる有効な選択肢です。

【関連記事】バーチャルオフィスとは?メリット・デメリットと失敗しない選び方を解説

住所表示の省略制度を利用する

もう一つの方法として、特商法で認められている表示の省略制度を活用するやり方があります。これは、サイト上に「請求があれば遅滞なく書面や電子メールで情報を提供します」と記載し、かつ実際に請求があった場合に遅滞なく提供できる措置を講じていることで、平時の画面上では住所や電話番号の表示を省略できるというルールです。

費用は無料(ただし開示請求があれば対応が必要)であり、一見すると手軽で費用もかからないため、魅力的に感じられるかもしれません。しかし、購入者から開示請求があった場合には、速やかに現に活動している住所を伝えなければならないという条件が伴います。なお、開示する住所は自宅住所に限らず、バーチャルオフィス等の住所も一定の条件下で認められますが、省略制度を単独で利用する場合は、開示請求に応じて自宅住所を伝えることになるため、住所を完全に非公開にできるわけではありません。そのため、省略制度だけでは根本的な解決策にはなりにくい点に注意が必要です。

【関連記事】個人事業主の住所は自宅以外でも可能?自宅公開のリスクと解決策を解説

バーチャルオフィスを利用する場合は、ただ住所を借りるだけでなく、実際の業務に支障が出ないかを確認することが大切です。費用だけで選んでしまうと、後からトラブルになることも考えられますので、以下のポイントを参考にしてください。

確認ポイント理由トラブルの例
郵便物の転送対応返品や書類の受け取りに必要返品された商品が受け取れず紛失する
ネットショップ利用の可否規約で制限されている場合がある規約違反で突然解約される
法人登記の対応将来的な事業拡大に備えるため法人化の際に別の住所を探す手間が生じる

返品の受け取りや郵便物転送に対応しているか

ネットショップを運営していると、商品の返品や交換が発生することがあります。バーチャルオフィスを特商法の住所として記載した場合でも、返品先は別の住所を指定することが可能です。ただし、購入者が特商法の表示住所に返送してくる可能性もあるため、返品ポリシーで返送先を明確に案内しておくことが重要です。

なお、バーチャルオフィスの住所で荷物を受け取る必要がある場合は、荷物の受け取りや自宅への転送サービスが含まれているかを必ず確認してください。転送の頻度や荷物のサイズによって追加料金がかかることもあるため、事前の見積もりやプラン内容の比較が大事です。

返品対応がスムーズに行えないと購入者とのトラブルに発展する可能性があるため、物流のサポート体制はしっかりとチェックすることをおすすめします。

利用規約でネットショップでの利用が許可されているか

すべてのバーチャルオフィスが、ネットショップの特商法表記での利用を許可しているわけではありません。運営会社によっては、不特定多数に公開される通販サイトでの利用を禁止している規約が存在します。契約前に、ご自身の用途が利用規約に違反しないかを運営会社に問い合わせておくと安心です。

なお、規約で禁止されている用途と知らずに利用を続けてしまうと、規約違反として突然解約されるケースもあります。解約後に新たな住所を探す手間や、表記住所の変更対応に時間を取られるリスクを避けるためにも、契約前に確認しておくことをおすすめします。

また、過去に不正な目的で住所が使われた履歴があるバーチャルオフィスの場合は、プラットフォーム側での審査に通らない可能性も考えられます。信頼できる運営会社を選び、事業内容を正確に伝えた上で契約を進めることが安全な運営につながります。

将来の法人化や住所変更にも対応できるか

副業や個人事業として始めた場合でも、ネットショップが軌道に乗れば、将来的に法人化を検討する場面が出てくることがあります。その際、利用しているバーチャルオフィスが法人登記にも対応しているかどうかは、見落とされがちな確認ポイントです。

法人登記に対応していないバーチャルオフィスを利用していた場合、法人化のタイミングで別の住所を新たに探し、特商法の表記住所やネットショップの各種登録情報をすべて変更する手間が発生します。表記の変更作業自体は難しいものではありませんが、変更が完了するまでの間に旧住所宛の郵便物が届いてしまうなど、運用上の混乱が生じることもあります。契約時点で法人化の予定がない場合でも、対応の可否だけは事前に確認しておくと、後々の手間を減らすことができます。

【関連記事】バーチャルオフィスで法人登記は可能!メリット・デメリットと注意点を解説

ネットショップ開設するなら

ここまで紹介した3つの方法は、どれが絶対的に優れているというものではなく、ビジネスの段階によって向き不向きが変わります。最後に、状況別の選び方を整理します。

副業・小規模ならプラットフォームの非公開設定から検討する

副業として小規模に始めたい方や、まずはリスクなく試してみたいという方には、プラットフォームの非公開設定から始めるのが現実的です。前述のとおり追加コストがかからず設定も簡単なため、ハンドメイド作家や物販を試験的に始める方にとって取り入れやすい選択肢です。

ただし、この方法は利用しているプラットフォームに依存するため、将来的に自前のショップへ移行する計画がある場合は、その時点で別の方法への切り替えが必要になることも想定しておきましょう。また、出店先を一つに絞らず複数のモールに同時展開していく場合、モールごとに非公開設定の有無や仕様が異なるため、すべての出店先で同じように住所を隠せるとは限らない点にも注意が必要です。

本格的に事業を伸ばすならバーチャルオフィスが有効

継続的に売上を伸ばしていきたい方や、複数のモールやSNSを使って販売チャネルを増やしていく予定がある方には、バーチャルオフィスの利用が向いています。月額のコストはかかりますが、どのプラットフォームでも共通して使える住所を一つ持っておくことで、チャネルが増えても表記の管理がシンプルになります。

前述の確認ポイント(郵便物転送、利用規約、法人登記対応)を踏まえて契約先を選べば、長期的に安心して使い続けられます。特に、販売チャネルを後から追加する可能性がある方は、出店先ごとに住所の扱いを考え直す必要がないという点で、早い段階からバーチャルオフィスに切り替えておくメリットが大きくなります。

なお、住所表示の省略制度は単独での運用には限界があるため、まずはこの2つの方法を軸に検討し、必要に応じて補助的に組み合わせる位置づけで考えるとよいでしょう。

【関連記事】【初心者向け】バーチャルオフィスで会社設立は大丈夫?不安を解消する完全ガイド

この記事の要点をまとめます。

✅ 特定商取引法により個人のネットショップでも原則として住所公開が義務付けられている
✅ プラットフォームの代理表示機能を使えば安全に自宅住所を隠すことができる
✅ 本格的にビジネスを展開する場合はバーチャルオフィスの利用が有効な対策になる

ルールを正しく理解し適切なサービスを活用することで、安心してビジネスを一歩前へ進めていきましょう。

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writing by:nex株式会社 事業企画室

nexでは、レンタルオフィス・コワーキングスペース・バーチャルオフィスに関する情報を、コラム記事を通じてわかりやすく発信しています。
自社サービスに限らず、これから働き方を見直したい方・新しい拠点を検討している方に役立つ業界情報をお届けしていきます。

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